北海道で雪の妖精に出会ったお話です。
先日、仕事で札幌を訪れた際のことです。大通公園で足早に次の約束先へ向かっていた私の耳に、「チリリリ…」という可愛らしい鳴き声が飛び込んできました。
その音の方向に目をやると…そこにいたのです!まるで綿で作ったような真っ白でまん丸い小さな鳥が。黒いつぶらな瞳と小さな三角形のくちばしがチャームポイントの、あの噂の「雪の妖精」シマエナガだったのです!
初めて実物を見た私は、思わず足を止めてしまいました。予定?打ち合わせ?そんなの後回し!(実際には遅刻せずに済みましたよ、ご安心を)
シマエナガってどんな鳥?
シマエナガは北海道に生息している雪の妖精、特別な鳥なんです。エナガの亜種で正式名称は「Aegithalos caudatus japonicus」。全長約14cmと小さいのに、そのうちの半分は尾が占めているというから驚きです!
みなさんがSNSなどで見る、あのかわいらしいまん丸フォルムは実は「冬限定」の姿なんですよ。厳しい北海道の冬を乗り切るため、シマエナガは冬になると体を覆う羽毛をふんわりと膨らませるのです。羽毛の間に空気を含ませることで保温効果を高める賢い生存戦略なんですね。
夏のシマエナガはというと…これがもう別の鳥かと思うほど見た目が変わります。スリムになり、白いふわふわ感はなくなって茶色の羽も混ざります。「雪の妖精」という異名は、まさに冬の姿にぴったりですね。

ブームの火付け役
シマエナガの人気が爆発したのは、2010年代後半からと言われています。北海道新聞の子ども向け週末版に「雪のようせい シマエナガちゃん」という漫画が連載されたことや、写真家たちがSNSで素晴らしい写真を発信し始めたことが火付け役になったそう。
私も恥ずかしながら、この「シマエナガブーム」に乗って北海道を訪れたうちの一人です(笑)。でも、実際に見てしまうと…これはもう恋ですよ、恋!この小さな命に会うためなら、真冬の北海道だって喜んで訪れちゃいます。
出会えるスポットとコツ
シマエナガを見かけたいなら、12月から2月の冬が狙い目。札幌市内なら円山公園や北海道大学の構内、大通公園などがおすすめスポットです。私が出会えたのは大通公園でしたが、その日は本当にラッキーでした!
見つけるコツは、まず「チリリリ」という特徴的な鳴き声に耳を澄ますこと。音のする方向の木の枝先を注意深く観察してみてください。シマエナガは群れで行動することが多いので、一羽見つけたら周りにも仲間がいることが多いですよ。
カメラ好きの方にとっては、シマエナガは究極の被写体かもしれません。でも、彼らの生活を尊重して、適切な距離を保つことを忘れないでくださいね。私は写真は趣味程度ですが、あまりに興奮してシャッターを連打していたら電池が切れてしまうという悲劇に見舞われました(涙)。
知られざる生態の魅力
シマエナガの生態にも魅力がたくさん!繁殖期には、コケやシダをクモの糸で編み上げた精巧な球形の巣を作ります。この巣づくりの技術は鳥類の中でもトップクラス。入口は小さな穴が一つだけで、内部は鳥の羽や獣毛の柔らかい素材で覆われているそう。
カップルで協力して2週間かけて巣を作り、6〜12個の卵を産み、ともに子育てをするという家族愛の強さも素敵ですよね。
食事は主に小さな昆虫やクモ、木の実など。冬の餌が少ない時期には、樹液を舐めて栄養を摂ることもあるそうです。体重が維持できないと命に関わるので、日々食べ物を探して本当に忙しそうに動き回っています。
雪の妖精の未来を考える
気候変動が進む今、北海道特有のこの小さな生命の未来を考えずにはいられません。温暖化で北海道の冬が変わってしまったら、雪の妖精の特徴である冬毛という特別な適応を持つシマエナガの生存にも影響があるかもしれません。
「雪の妖精」と人間との素敵な出会いが、これからも続いていくように。観察や撮影を楽しみながらも、彼らの生活を守る意識を持ちたいものですね。
次の冬、またシマエナガに会いに行く予定です。みなさんも北海道を訪れる機会があれば、ぜひこの愛らしい小さな鳥を探してみてください。きっと心に残る特別な出会いになるはずですよ!