オレンジ色の看板でおなじみのセイコーマート(通称:セコマ)。
北海道を訪れたことがある方なら、一度は目にしたことがあるでしょう。
このローカルコンビニチェーンが北海道民から熱狂的に支持される最大の理由が「ホットシェフ」の存在です。
「出来立てはおいしい」という信念のもと、1994年に誕生したホットシェフ。
店内で一から調理する画期的なシステムは、コンビニ業界の常識を覆しました。その結果、今や北海道の食文化として欠かせない存在になっています。
ホットシェフとは?誕生の歴史
ホットシェフは、セイコーマートが1994年12月に北海道十勝の足寄(あしょろ)町に第一号店をオープンしたのが始まりです。
当時の名称は「そば弁亭」で、人口約1万人の小さな街を実験の場として選びました。
失敗してもバレないようにという配慮があったとも言われています。
興味深いのは、セイコーマート自体が1971年に札幌市北区に1号店をオープンし、日本で現存する最も古いコンビニのひとつであるという点です。
そんな老舗が試行錯誤の末に生み出したのがホットシェフなのです。
現在、ホットシェフは約930店舗以上に拡大。
「おいしいものをお届けしたい」という思いを追求した結果、店内で調理するという発想に至ったと言われています。

店内調理にこだわる「ホットシェフ」の特徴
ホットシェフの最大の特徴は、文字通り店内で調理した出来立ての商品を提供している点です。
例えば「カツ丼」なら、お米を研ぐところからトンカツを揚げるところまで、すべて店内で行います。
店内調理の具体的なポイントを見てみましょう:
- 温かさへのこだわり:調理後の商品は温かい棚に陳列され、温めなおす必要がありません。お客様が「あたためますか?」と聞かれることなく、すぐに食べられる状態で提供されます。
- 手作りならではの味:例えば、カツ丼の「ふわとろ卵」は店内のオーブンで火を通すことで実現。この半熟たまごの食感は店内調理ならではの味わいです。
- 北海道産の素材を活用:「道産ポテトのフライ」をはじめ、地元北海道の食材をふんだんに使用した商品が多いのもホットシェフの特徴です。
コンビニとしては珍しい店内調理システムですが、その理由はセイコーマートが「食のインフラ」としての役割を担っているから。
過疎地にも出店する地域密着型の経営方針が、ホットシェフという形で具現化されているのです。
圧倒的人気を誇るホットシェフの定番メニュー
ホットシェフには多くの人気メニューがありますが、特に注目すべき商品を紹介します。
1. カツ丼
ホットシェフの顔とも言える「カツ丼」は、セイコーマートの全販売商品の中でも売上高1位を誇る人気商品です。
ダシが効いた少し濃いめ&甘めのタレと、フワトロ卵が特徴。
2024年11月の価格改定後は約594円です。しかし、そのボリュームと味からすれば納得の価格設定です。
北海道を訪れる観光客が「北海道グルメ」として必ず食べるべき一品と言っても過言ではありません。
タカアンドトシなど芸能人にもファンが多く、CMにも起用されています。
2. フライドチキン
ホットシェフの人気ランキングで常に上位に食い込む「フライドチキン」。
2024年11月現在の価格は約321円で、5個のチキンが入っています。
店内で一つひとつ粉付けして揚げることで、ジューシー&スパイシーな味わいを実現。
ところどころ衣が厚くなっていてパリッとした食感が特徴です。
ドライブのお供や小腹が空いたときのスナックとして、多くの道民に親しまれています。

3. 道産ポテトのフライ
北海道といえばジャガイモ。
その北海道十勝産の「マチルダ種」を使用した「道産ポテトのフライ」は、ホクホクの食感が魅力です。
皮つきのまま揚げることで、素材本来の味を引き出しています。
スラッとしたポテトではなく、厚みのあるポテトで、ちょうど良い塩気が特徴。
フライドチキンとの相性も抜群で、セットで購入する方も多いようです。
4. おにぎり
ホットシェフのおにぎりは、一般的なコンビニのおにぎりとは一線を画します。
店内で炊いたごはんを使用し、一つひとつ手作りで握られているため、ふっくらとした食感が特徴です。
特に「すじこ」のおにぎりは、北海道名物と言っても過言ではない人気商品。
2024年11月現在の価格は約350円と高めですが、粒感の残る「すじこ」と道産米の相性は抜群です。食べた後の満足度は価格以上です。
その他、「ベーコンおかか」や「鮭」「明太子&マヨ」など、バラエティ豊かな種類が揃っています。
5. 豚丼
北海道十勝地方の郷土料理「豚丼」もホットシェフの人気メニューの一つです。
高温で一気に炒めることで軟らかくジューシーに仕上げた豚肉に、特製の甘辛いたれをからめています。
カツ丼に次ぐ人気を誇る丼物で、北海道らしさを求める観光客にもおすすめです。
ホットシェフが北海道民に愛される理由
セイコーマートのホットシェフが、これほどまでに北海道民から愛される理由は何でしょうか?
一つは「価格と品質のバランス」です。
店内調理商品でありながら、比較的リーズナブルな価格設定。
近年の物価高騰で値上げされたものの、経済的な負担が少なく、日常的に利用できる点が支持されています。
二つ目は「食のインフラとしての役割」。
過疎地にも出店するセイコーマートの経営方針は、ホットシェフを通じて温かい食事を提供するという形で具現化されています。
三つ目は「北海道らしさ」。
北海道産の食材を活用し、豚丼などの地元グルメを提供することで、北海道の食文化を支える役割を担っています。
また「ホットシェフがない店舗には行かない」という道民も少なくありません。
それほどまでにホットシェフはセイコーマートの象徴となっているのです。

旅行者必見!ホットシェフを楽しむポイント
北海道を訪れる旅行者の方へ、ホットシェフを最大限に楽しむポイントをいくつか紹介します。
まず、ホットシェフの営業時間は店舗によって異なります。
一般的には9時半頃から販売が始まることが多いようです。しかし、最近では店頭に「出来上がり時間」を掲示している店舗もあるので、事前に確認することをおすすめします。
人気商品は「カツ丼」「フライドチキン」「すじこのおにぎり」の3点。
特に「カツ丼」は売り切れることも多いので、見つけたらすぐに購入しましょう。
また、季節限定や期間限定の商品も要チェック。
「期間限定カレー」など、そのタイミングでしか味わえない特別メニューも人気です。

まとめ:北海道の誇りホットシェフ
セイコーマートのホットシェフは、単なるコンビニの店内調理サービスではなく、北海道の食文化を支える重要な存在です。
「出来立てはおいしい」という信念のもと、店内で手作りする温かい食事は、多くの道民の胃袋と心を掴んでいます。
北海道を訪れた際には、ぜひセイコーマートのホットシェフを体験してみてください。
カツ丼の「フワトロ卵」やフライドチキンのジューシーな味わい、すじこおにぎりのプチプチ感は、きっと旅の思い出に残ることでしょう。
道民に愛され続けて30年。
これからもホットシェフは北海道の食文化の一翼を担い続けることでしょう。