車の査定を受ける際、買取希望金額を最初から伝えるかどうかは多くの方が悩むポイントです。
「できるだけ高く売りたい」という気持ちは誰しも同じですが、希望金額の伝え方一つで査定結果が大きく変わることをご存知でしょうか。
一般的には、査定金額の基準としてその数字が固定されてしまうリスクがあるため、最初は伝えない方が有利だとされています。
しかし、早く売りたい場合や急ぎの事情がある場合は、あえて希望金額を提示することも一つの戦略となります。
この記事では、希望金額を伝える場合のメリットとデメリット、そして複数の業者で査定を受ける重要性などについて、具体的に解説していきます。

1. 希望金額を伝えない方が良い理由
一般的には、査定時に自分の希望金額を最初から伝えない方が有利だとされています。
理由としては、希望金額を伝えるとその数字が査定の基準として固定され、交渉の余地が狭まってしまうためです。
業者はその数字をベースに査定を進めるため、実際の市場価値より低く見積もられるリスクがあります。
例えば、
あなたの車が市場価値で60万円相当であっても、あなたが「40万円で売りたい」と伝えてしまうと、買取業者は「35万円からスタートして少し上乗せして38万円」などと提案し、あなたの希望に近い価格を提示することで納得させようとする戦略を取ることがあります。
また、買取店にとっては「お客様の希望金額に沿えるよう査定しました」という印象を与えることで、本来ならもっと高く買い取れる車でも、お客様が納得する最低限の金額で取引を成立させようとするケースも見られます。
ポイント:
査定前に「いくらぐらいで売れますか?」と質問されても、具体的な金額を答えるのは避けましょう。
「相場がわからないので、プロの目で見てもらいたい」「車の状態を見て適正価格で評価してほしい」といった回答にとどめるのがベストです。
2. 希望金額を伝える場合のメリット
ただし、急ぎで車を売却したい場合は、希望金額を伝えることで迅速な対応を引き出せることもあります。
希望金額を先に提示することで、業者にとっても取引のスピードが上がり、すぐに現金化が可能となるケースがあります。
例えば、
新車の納車が迫っていて、今月中に手放したい場合などは、「最低でもこの金額は欲しい」と伝えることで、その条件を満たせる業者のみと交渉を進められるため、時間の節約になります。
また、車の下取りでローンの残債を清算したい場合なども、必要な金額を明確にすることで、条件に合った提案を受けやすくなります。
しかし、この方法は相場より高すぎる数字を提示すると、かえって査定額がその数字を基に低く設定されるリスクがあるため、慎重に判断する必要があります。
アドバイス:
希望金額を伝える場合は、事前にネットの一括査定などで相場観を把握しておくことが重要です。
相場の8〜9割程度の金額を希望額として伝えれば、業者も「この金額なら買取可能」と判断しやすく、スムーズな取引につながることが多いでしょう。

3. 複数業者で査定を受ける重要性
希望金額を伝えるかどうかに関わらず、複数の業者で査定を受けることは非常に重要です。
同じ車でも、買取業者によって査定額が20〜30%も異なることは珍しくありません。
これは各業者が得意とする車種や販売ルートが異なるためで、あなたの車を高く評価してくれる業者を見つけることが高額査定への近道となります。
複数の査定結果を比較することで、市場の相場をある程度把握することができ、より適正な価格での売却交渉が可能となります。
また、「A社では○○万円と言われた」という情報は、他社との交渉の材料としても大きな力を発揮します。
買取業者も競合他社との競争を意識するため、他社より高い査定額を提示してくることも少なくありません。
実例:
筆者の知人は、最初に査定を受けた業者では38万円の査定額でしたが、複数の業者に査定を依頼した結果、最終的には56万円で売却することができました。
このように、複数の業者で査定を受けることで、大幅に売却額がアップする可能性があります。
4. 状況に応じた適切な対応
希望金額を伝えるタイミングは、車の状態や売却の緊急度によって判断すべきです。
市場相場や複数の査定結果を十分に把握してから、希望金額を提示するのが理想的です。
車の市場価値が高い場合(人気車種、低走行距離、状態が良いなど)は、最初は希望金額を伝えずに各社の査定額を比較した方が高値が期待できます。
一方、車の状態があまり良くない場合や、一般的に需要の低い車種の場合は、ある程度現実的な希望金額を伝えた方が、無駄な時間をかけずに取引を進められることもあります。
逆に、急ぎで現金化したい場合は、希望金額をあえて伝えて迅速な対応を促すことも一つの戦略となります。
重要なのは、どのタイミングで情報を開示するかを戦略的に考えることです。
5. プロが教える希望金額の設定方法
もし希望金額を設定する場合、どのように金額を決めれば良いのでしょうか。
買取のプロが教える、適切な希望金額の設定方法をご紹介します。
まず、ネットの買取相場サイトで、同じ車種・年式・グレード・走行距離の相場を調べましょう。
次に、自分の車の状態(傷や故障の有無、内装の状態など)を客観的に評価します。
相場に対して、車の状態が良ければプラス5〜10%、標準的ならそのまま、状態が悪ければマイナス10〜20%程度の金額を希望金額の目安にすると現実的です。
また、売却を急いでいない場合は、相場よりやや高めの金額を希望額として伝え、徐々に妥協点を探る方法も効果的です。
逆に早く売りたい場合は、相場よりやや低めの現実的な金額を希望額として伝えると、スムーズに取引が進むでしょう。
希望金額設定の実例:
トヨタ プリウス(5年落ち・走行5万km)の場合
- 相場情報:80〜100万円
- 状態が良い場合:95〜105万円
- 標準的な状態:80〜90万円
- 状態が悪い場合:70〜80万円
このように相場情報をベースに、車の状態に応じた希望金額を設定するのが理想的です。

まとめ
車の査定時に買取希望金額を伝えるかどうかは、状況や目的に応じた判断が必要です。
基本的には、査定結果に影響を与えないためにも最初は伝えない方が有利ですが、急いで売却したい場合は、その戦略も有効です。
希望金額を伝える場合は、相場を十分に調査し、現実的な金額を設定することが重要です。
複数の業者で査定を受け、相場を十分に把握した上で、適切なタイミングで希望金額を伝えることで、最適な売却条件が実現できます。
買取交渉は、情報戦でもあります。
十分な準備と戦略的な交渉で、愛車の価値を最大限に引き出しましょう。
この記事が、車の査定時に買取希望金額を伝えるべきかどうかの判断材料となり、最適な売却条件を見極める助けになれば幸いです。
