子どもと一緒に車に乗るとき、欠かせないのがチャイルドシート。でも「種類が多すぎて選び方がわからない」「法律上の義務はどこまで?」「正しい取り付け方って?」など、疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。今回は、お子さんの安全を守るチャイルドシートについて、徹底的に解説します。
チャイルドシートは法律で義務付けられています
まず知っておきたいのは、チャイルドシートの使用は単なるオプションではなく、道路交通法で義務付けられているということです。6歳未満の子どもを車に乗せる場合、運転者には必ずチャイルドシートを使用する義務があります。
これを怠ると「チャイルドシート着用義務違反」として、運転者に違反点数1点が加算されます。罰金や反則金はありませんが、違反点数が加算されるとゴールド免許の取得や維持に影響します。また何よりも、大切なお子さんの命を守るための措置なので、必ず使用しましょう。
警察庁の調査によると、チャイルドシートを使用していない場合の致死率・重傷率は、使用時と比べて非常に高くなります。なぜなら、大人用のシートベルトでは子どもの小さな体を適切に固定できないからです。
年齢に合わせた種類の選び方
チャイルドシートには、子どもの成長段階に合わせていくつかの種類があります。選ぶ際は、お子さんの体格に合ったものを選びましょう。
1. 新生児〜1歳頃:ベビーシート(乳児用)
後ろ向きに取り付けるタイプで、まだ首が座っていない新生児から使用できます。赤ちゃんの首や頭をしっかりと支えられる構造になっています。体重13kg程度(1歳半頃)までの赤ちゃん向けです。
2. 1歳〜4歳頃:チャイルドシート(幼児用)
首がすわり、ある程度座れるようになった子ども用のシートです。体重9kg〜18kg程度(4歳頃)まで使用できます。前向きに取り付けるタイプが一般的ですが、最近は成長に合わせて後ろ向きからの使用も可能な製品も増えています。
3. 3歳〜7歳頃:ジュニアシート
体重15kg〜36kg程度(3〜12歳頃)の子ども用です。車の座席に直接座り、ブースター(高さを上げる台)の役割をして、車に備え付けのシートベルトを適切な位置で使用できるようにします。
4. 新生児〜7歳頃:回転式/長期使用タイプ
近年人気なのが、新生児から長く使えるタイプです。成長に合わせて向きや角度を変えられるため、買い替えの必要がなく経済的です。また、回転式で乗せ降ろしが楽なタイプもあります。
チャイルドシートを選ぶ際のポイント
安全性を最優先に
チャイルドシートを選ぶ際は、まず安全性を重視しましょう。基準をクリアした製品には「Eマーク」というマークが付いています。さらに、国際的な安全基準「R44」または新基準「R129」(i-Size)に適合しているかも確認すると良いでしょう。
特にR129規格(i-Size)は、より厳しい側面衝突テストをクリアした製品なので、安全性が高いとされています。
取り付け方式をチェック
チャイルドシートの取り付け方式には、「シートベルト固定式」と「ISOFIX(アイソフィックス)固定式」の2種類があります。
シートベルト固定式:車の3点式シートベルトを使って固定するタイプです。ほとんどの車で使用可能ですが、取り付けに慣れが必要で、正しく取り付けないと効果が十分に発揮されません。
ISOFIX固定式:車のシートに直接取り付ける金具が付いているタイプです。取り付けが簡単で確実に固定できるため、取り付けミスが少なく安全性が高いとされています。ただし、車側もISOFIX対応である必要があります。
車種がISOFIX対応かどうかを確認した上で、可能であればISOFIX式を選ぶと安心です。
子どもの快適性と使い勝手
長時間乗っていても疲れにくいクッション性や、通気性の良い素材を選ぶと良いでしょう。また、カバーが取り外して洗濯できるタイプだと清潔に保てます。
回転式タイプは、子どもの乗せ降ろしがしやすく、特に新生児期や腰に負担のかかる妊娠中のママにもおすすめです。
正しい取り付けと使用法
チャイルドシートは、正しく取り付け・使用しないと十分な効果を発揮できません。以下のポイントに注意しましょう。
シートベルト固定式の取り付け方
- 車の説明書とチャイルドシートの説明書をよく読む
- シートベルトをチャイルドシートの正しい経路に通す
- シートベルトをしっかり締め、ゆるみがないか確認する
- チャイルドシートが左右に5cm以上動かないことを確認する
ISOFIX固定式の取り付け方
- 車のISOFIXアンカーの位置を確認する
- チャイルドシートのコネクターをカチッと音がするまで差し込む
- サポートレッグがある場合は、床までしっかり届くよう調整する
- インジケーターが正しく装着されたことを示していることを確認する
子どもの正しい乗せ方
- ハーネス(子ども用シートベルト)を適切な高さに調整する
- ハーネスにねじれがないか確認する
- 指1〜2本分の余裕を残して、きつすぎず緩すぎない程度に調整する
- チェストクリップ(胸元のクリップ)が正しい位置にあることを確認する
チャイルドシート使用の免除条件
原則として6歳未満の子どもにはチャイルドシートの使用が義務付けられていますが、以下のような場合は法律上の免除条件があります。
- 疾病などやむを得ない理由がある場合
- 一時的に子どもを乗せる緊急時
- タクシー業務において使用する場合(努力義務はある)
ただし、これらの場合でも可能な限りチャイルドシートを使用することが子どもの安全のためには望ましいです。
よくある間違いと注意点
成長に合わないサイズを使用する
子どもの体重や身長に合っていないチャイルドシートを使用すると、十分な保護ができません。定期的に子どもの成長を確認し、適切なタイプに切り替えましょう。
エアバッグ装備の助手席に後ろ向きで設置
助手席にエアバッグが装備されている場合、後ろ向きのベビーシートを設置すると大変危険です。エアバッグが作動した際に重大な事故につながる可能性があります。
中古品の使用
過去に事故歴のあるチャイルドシートや製造から長期間経過した中古品は、外見上の損傷がなくても内部で劣化している可能性があります。安全性を考えると、新品の購入をおすすめします。
まとめ
チャイルドシートは子どもの命を守るための重要な安全装置です。法律で義務付けられているだけでなく、実際に事故の際にお子さんを守る効果が実証されています。
お子さんの年齢や体格に合ったものを選び、正しく取り付け・使用することで、その効果を最大限に発揮させることができます。車での外出時には、必ずチャイルドシートを使用して、大切なお子さんの安全を守りましょう。
なお、チャイルドシートの正しい取り付け方や使用方法に不安がある場合は、販売店でのアドバイスを受けたり、JAF(日本自動車連盟)などが開催している取り付け講習会に参加するのも良い方法です。
子どもの成長は早いものです。でも、その成長を見守れるのは、安全があってこそ。チャイルドシートの正しい選択と使用で、安心・安全なカーライフを楽しんでください。