北海道小樽市稲穂3丁目に位置する「小樽三角市場」は、JR小樽駅から徒歩わずか1分という絶好のロケーションにある市場です。正式名称は「小樽駅前市場」ですが、その独特な三角形の土地と屋根の形状から「三角市場」という愛称で親しまれています。地元の人々の台所として長く愛されるとともに、小樽を訪れる観光客にとっても必見のスポットとなっています。
小樽三角市場の歴史と成り立ち
小樽三角市場の始まりは、Wikipediaや小樽観光協会の情報によると、昭和23年(1948年)頃に遡ります。当初は小樽駅前において7〜8軒の露天商が店を出したのが始まりでした。戦後の混乱期に生まれた市場は、その後出店者が相次ぎ、近郊地域の石狩地方や後志地方の新鮮な魚介類や農産物が集まる場所として発展していきました。
市場が現在の形になるまでには様々な変遷がありました。三角形の土地は、周辺の道路整備によって形作られたもので、この特徴的な形状が「三角市場」という名前の由来となっています。かつて小樽には20以上もの市場があったと言われていますが、スーパーマーケットやコンビニエンスストアの普及により、その多くが消えていきました。そんな中で三角市場は、観光客と地元客の両方に支持され、現在も活気ある市場として存続しています。
市場の規模と特徴
小樽三角市場は全長約200mとコンパクトながらも、約20店舗が軒を連ねる活気あふれる市場です。鮮魚店、乾物店、惣菜店、食堂など様々な業種のお店が集まっていますが、特に目立つのは新鮮な海産物を扱う店舗です。小樽近海で獲れた魚介類をメインに取り扱っており、特に塩干物を専門とする店が多いのが特徴です。
市場内は、威勢のいい店主の掛け声や活気に満ちた雰囲気が漂い、北海道の市場ならではの活気を感じることができます。店頭には、ウニ、イクラ、ホタテ、カニといった北海道の名産品が所狭しと並び、目にも鮮やかな光景を作り出しています。
営業時間と訪れるベストタイミング
小樽三角市場の営業時間は基本的に朝6:00から夕方17:00までとなっていますが、店舗によって異なります。特に食事処は朝7:00頃からの営業が多いようです。各店舗の営業日も異なりますが、市場全体としては年中無休で営業しています。
訪れるベストタイミングとしては、新鮮な魚介を求めるなら朝の開店直後がおすすめです。特に人気の海産物は午前中に売り切れてしまうこともあります。一方で、観光客が多く訪れる昼食時は混雑することが多いため、朝食や遅めの昼食として利用するのも良いでしょう。地元客は早朝に買い物に訪れる傾向があり、観光客は10時以降に増えてくる傾向があります。

人気の店舗と名物
海鮮丼の人気店
小樽三角市場で特に人気を集めているのが海鮮丼です。複数の食堂がありますが、中でも地元でも評判の高い店舗をいくつかご紹介します。
食堂 味処たけだ 三角市場内の武田鮮魚店が直営する人気食堂です。朝7:00から営業しており、朝食としても人気があります。特に「鮭親子丼」は、新鮮なサーモンといくらが贅沢にのった名物メニューです。底が深いどんぶりに盛られた海鮮は見た目にも豪華で、海鮮丼には全品日替わりの味噌汁も付いてきます。早朝から営業しているため、混雑する日中を避けて朝食として訪れるのもおすすめです。
北のどんぶり屋 滝波食堂 マルキ滝波商店が運営する食堂で、「元祖わがまま丼」が人気です。人気のネタ10種類の中から好きなものを選んでオリジナルの海鮮丼を作ることができます。新鮮な魚介を自分好みに組み合わせられるため、リピーターも多い店舗です。

鮮魚・海産物の名店
武田鮮魚店 市場内の人気鮮魚店で、前述の「味処たけだ」を運営しています。地元で獲れた新鮮な魚介類を中心に取り扱い、店頭では威勢の良い掛け声と共に魚をさばく様子も見られます。
市場で味わえる北海道の旬の味
小樽三角市場では、季節によって異なる旬の海産物を味わうことができます。北海道の海の幸は季節によって大きく変わるため、訪れる時期によって異なる魅力があります。
春(3月〜5月): 桜鱒、ホタルイカ、春ニシン、タラの芽などが旬を迎えます。特に春ニシンの卵である「数の子」は、この時期ならではの味わいです。
夏(6月〜8月): ウニ、イカ、ホタテが最も美味しい季節です。特に夏のウニは濃厚な味わいで、ウニ丼は夏の小樽の名物とも言えます。
秋(9月〜11月): 鮭、イクラ、秋刀魚が旬を迎えます。特に10月頃から始まる鮭の遡上は、新鮮な鮭といくらの「親子丼」を味わうベストシーズンです。
冬(12月〜2月): タラ、カニ(毛ガニ、ズワイガニ)、ホッケが美味しい季節です。特に北海道の冬の味覚を代表するカニは、この時期に訪れる観光客に人気です。
市場の楽しみ方
お買い物を楽しむ
三角市場で買い物を楽しむコツは、まずは全体を見て回ることです。各店舗によって扱う商品や価格、特色が異なるため、全体を把握してから購入するのがおすすめです。特に観光客向けと地元客向けの価格差があることもあります。
また、店主との会話を楽しむのも市場の魅力の一つ。「今日のおすすめは何ですか?」と気軽に声をかければ、その日の一番美味しい商品を教えてくれるでしょう。試食を提供してくれるお店も多いので、気軽に味見をさせてもらうのも良いでしょう。
食事を楽しむ
市場内の食堂で食事をする場合、特に人気店は混雑することが多いです。朝早く(開店直後)か、逆に遅めの時間(14:00以降)を狙うのがおすすめです。また、多くの食堂では食券制を採用しているため、食券を購入してから席に着くシステムになっています。
海鮮丼の他にも、市場内で購入した新鮮な魚介を使った定食や、地元の食材を使った郷土料理なども楽しめます。観光客向けのメニューだけでなく、地元の人々が日常的に食べているメニューにも注目してみましょう。
お土産選び
三角市場は海産物のお土産を購入するのに最適な場所です。特に人気なのが塩干物(ホッケの干物など)、イクラ、数の子、タラコ、ウニの瓶詰めなどです。多くの店舗では、真空パックや保冷材付きの梱包サービスも提供しているため、旅行中でも安心して購入できます。
また、北海道の郷土菓子や地酒なども販売されており、食品以外のお土産を探すこともできます。地元の人々に愛されている隠れた逸品が見つかるかもしれません。
地元の人々の生活を支える場所
三角市場は観光地としての顔だけでなく、地元の人々の日常の買い物の場でもあります。朝早くから訪れる地元の常連客と店主の間には長年培われた信頼関係があり、名前で呼び合う親しい関係性も見られます。一般的なスーパーマーケットでは味わえない、人と人との温かいつながりが市場の魅力の一つです。
近年では地方の多くの市場が衰退していく中で、三角市場が存続している理由の一つは、この地域コミュニティとしての役割を果たしているからかもしれません。観光客向けにアピールするだけでなく、地元の人々の「台所」としての機能を守り続けているのです。
交通アクセスと周辺観光情報
小樽三角市場へのアクセスは非常に便利です。JR小樽駅から徒歩わずか1分という立地の良さから、電車で訪れる観光客にとっては特に訪れやすい場所です。札幌からJRで約30分で小樽駅に到着するため、札幌からの日帰り観光にも最適です。
車でのアクセスは、札樽自動車道の小樽ICから約15分です。市場付近には有料駐車場がいくつかありますが、観光シーズンには混雑することがあるため、公共交通機関の利用をおすすめします。
三角市場の周辺には、小樽運河、堺町通り、オルゴール堂などの小樽を代表する観光スポットがあります。特に小樽運河までは徒歩約10分、堺町通りまでは徒歩約15分の距離にあるため、市場での買い物や食事の後に小樽観光を楽しむことができます。

地元民おすすめの穴場情報
地元の人々からは、以下のような穴場情報が共有されています。
- 昼間は観光客で混雑する市場ですが、朝6時〜7時頃は地元の常連客しかおらず、最も新鮮な魚介が並ぶ時間帯です。特に本物の味を求める方は早朝に訪れるのがおすすめです。
- 海鮮丼などのメニューは店舗によって特色が異なります。例えば「味処たけだ」は新鮮な刺身がメイン、「北のどんぶり屋」はカスタマイズの楽しさ、といった具合です。自分の好みに合わせて選ぶと良いでしょう。
- 市場内の魚屋では、購入した魚介類をその場で調理してくれるサービス(有料)を提供しているお店もあります。宿泊先に調理設備がある場合は、新鮮な魚を買って簡単な下処理をしてもらうのも一つの楽しみ方です。
- お土産として人気の高い「いかめし」は、市場内でも購入できますが、地元の人々は駅構内の特定の店舗で購入することが多いようです。
未来への展望
長い歴史を持つ小樽三角市場ですが、時代の変化に合わせて進化を続けています。近年では一部の店舗がインターネット販売を始めるなど、従来の対面販売だけでなく新しい販売チャネルを開拓しています。
また、外国人観光客の増加に対応して、多言語対応のメニューを用意したり、クレジットカード決済を導入したりするお店も増えてきました。伝統を守りながらも、変化する観光ニーズに応えようとする姿勢が市場全体に見られます。
さらに、持続可能な漁業や地産地消の取り組みにも注目が集まっており、地元の漁業者と連携して環境に配慮した商品を提供する動きも出てきています。これからも小樽の食文化を守り、次世代に伝える重要な場所として、三角市場の役割はますます重要になっていくでしょう。
まとめ
小樽三角市場は、新鮮な海産物を楽しめる市場としてだけでなく、小樽の歴史や文化を感じられる場所として、今も多くの人々に愛され続けています。JR小樽駅から徒歩1分という抜群のアクセス、新鮮な海の幸、活気ある市場の雰囲気、そして地元の人々との触れ合いなど、魅力は尽きません。
朝は6:00から、食堂は7:00頃からの営業で、様々な海鮮丼や鮮魚店が軒を連ねる約200mのコンパクトな市場内には、「味処たけだ」や「北のどんぶり屋」といった名店も。四季折々の旬の味覚を提供する小樽三角市場は、観光客はもちろん、地元の人々の台所としても欠かせない存在となっています。
北海道小樽を訪れた際には、ぜひ三角市場で海の幸の豊かさと市場の活気を体験してみてください。朝早く訪れて新鮮な海鮮丼を楽しみ、小樽の一日をスタートさせるのも素敵な旅の思い出になることでしょう。